タイトル
教育よもやま話第29号
本 文
【教育よもやま話第29号】〜松井直輝の教育に役立つメルマガ〜
29.いじめの種は幼児期にある 〜夢中になる〜 (中)
月間少年育成という雑誌があります。
昭和31年創刊で、全国に1万部を発行しています。
これは主に学校の先生が読む雑誌です。
私の【いじめ】に関する記事が平成19年の9月号から上・中・下と3ヶ月連続で掲載されました。
今回はその2回目(中)をご紹介します。
1.存分に感情を発揮する
幼児期に一番大切なことは「It’s OK to be here !」愛される実感 そして「存分に感情を発揮すること」です。
不登校児を扱っているスクールカウンセラーの人は、不登校になる子どもの共通点として「感情の表現ができない」ということをあげています。
自分の感情と、その感情を表す語彙が一致しないというのです。
中学校の保健室に登校する子どもたちは、自分の感情の認識ができません。
保健室には「今の気持ちをチェックしましょう」という、感情が書いてあるシート(□イライラ □怒り □悲しい等)があり、これにチェックを入れないと自分の感情の確認ができない子どもが多いそうです。
そのカウンセラーの先生は幼児期に親や先生が感情を表す言葉を数多く知り、そしてその言葉を使うことを勧められていました。
皆さん感情を表す言葉を使っていますか。
子どもに「辛かったな」「焦るよね」「悲しいね」「腹立つな」という言葉を使って、子どもの気持ちを代弁してあげていますか。
これを「共感」と言います。
共感されると子どもは自分を理解してくれたと感じ、自分にそして親にOKを出せるのです。
「It’s OK to be here !」です。
愛される実感を持ち、居場所を確認できるのです。
しかしその逆になると「何でお母さんは私の気持ちをわかってくれへんねん。」となり、自分にもそして親にもOKを出せないのです。
つまり、子どもにとっては自分の「存在」を認められず、居場所を失ってしまうことになります。
さらに私は大切なことがあると思います。
それは幼児期に「存分に感情を発揮すること。」です。
お子さんは思いっきり笑っていますか。
あそびに夢中になっていますか。
悲しむ経験や悔しい経験をしていますか。
人間の基本感情は「喜び、恐れ、悲しみ、怒り」です。
これらの感情は生まれながらに持っている基本感情です。
これらを存分に発揮する経験が少なすぎます。
例えば、怒りという感情を100感じているとします。
100表現できる子は将来怒りを感じたとき、100までコントロールすることができます。
「今は怒りを60感じている。これ以上僕にいやなことを続けるならば、僕は100の怒りのパワーを使い反撃するぞ。」と調整できるのです。
しかし100の怒りがあるにもかかわらず、40しか表現したことのない人は、「これ以上怒りを出したらどうなるだろう。きっとひどいことになるに違いない。だから怒りの感情は抑えておこう。」と閉じこもるか、コントロールできず切れてしまうかです。
車の運転と同じですね。
100キロで走ったことのある人は100キロまでコントロールできます。
しかし40キロしか出したことのない人は高速道路を走ることに恐怖を感じます。
ディズニーランドに家族で行ったときの話です。
夜にパレードがありました。
早くから席の確保をし、少しでもよいポジションでそのパレード見ようと必死になっていました。
たいていこれは父親の仕事ですね。
そしてパレードが始まりました。
子どもは大はしゃぎです。
きらきら光り輝くライトの中で夢のようです。
しかし突然娘が泣き出しました。「パパ、あれ怖い。」っと。
見ると黒い服を着た恐ろしい怪物みたいなものが近づいてくるではありませんか。
娘はそれを見て恐怖のあまり泣き出したのです。
そのときは「何で楽しい夢の世界にこんな恐ろしい出し物があるのか。」と私は怒りを感じました。
しかし今は意味がわかります。
恐怖の感情の発揮も大切なのです。
そしてそのとき親が保護してあげる関わりが大切なのです。
「大丈夫や。パパがいるから。」と言うと私に抱っこされその怪物が過ぎ去るのを娘はじっと見ていました。
そのとたんいつもの娘に戻っていました。
恐怖の体験はあまり多く経験することは必要ではありません。
しかし、恐れを知らない子は暴走していまいます。
そして恐怖は守られないといけません。
そんな経験が子どもには必要です。
2.感情のコントロール
人間の基本感情は「喜び、悲しみ、怒り、恐れ」の四つです。
これらの感情を発揮すると共にどのようにこれらの感情と関わっていかないといけないのでしょうか。
まず、「喜び」は共有しないといけません。
幼稚園ではお誕生日会があります。
「人の喜び我が喜び」です。
みんなでお祝いし、幸せを分かち合う経験をしないといけません。
喜びを独り占めしたくて、ひがんだりすねたりしてはダメです。
このようになると「マニアック」な人間になり、夜一人でパソコンの前に座り、「ひっ、ひっ、ひっ」と笑うような人間になってしまいます。
「奪い合えば足らず、分け合えば余る」のです。
喜びはみなで共有していきましょう。
「悲しみ」は慰められないといけません。
インコのピーちゃんが死にました。
大好きだったのに朝動かなくなっていました。
その大好きなピーちゃんをお母さんはティッシュに包んで私の目の前でゴミ箱に捨ててしまいました。
「ああ、大好きなピーちゃんをお母さんはゴミ箱にすてた。何するの!」と悲しみは倍増です。
ぜんぜん悲しみは癒されていません。
やはり庭にお墓を作ってあげ、土に埋めてあげ手を合わせることにより悲しみは癒されていきます。
悲しみは過去の出来事に縛られているのです。
過去から今ここに戻り今できることをすることにより癒されていきます。
時間をかけてそのような関わりをしてあげましょう。
「怒り」の感情をコントロールするためには、今自分が怒りを感じていることに気付かないといけません。
「あんた何怒ってるの?」と聞かれると、聞かれた方がさらに大きな声を出して「怒ってへんわ!」と自分の怒りに気付いていないことが多々あります。
怒りの感情は自分を見失ってしまう作用があります。
ですから怒っている自分に気づかせてあげないと問題は解決しません。
怒りの感情を使う達人は、怒りの感情でプレッシャーをかけ人を操作し、問題が解決すると勘違いしています。
これを放っておくと爆発し、「憤怒・憎悪」という感情にエスカレートしていきます。
自分が怒っていることに気付くことにより「落ち着き」を取り戻します。
「恐れ」は保護されないといけません。
第三者に守られないといけません。
恐れの感情は未来に対する恐怖です。
気持ちが未来に飛んでいます。
これがひどくなると「不安・強迫神経症(未来がなくなる)」になってしまいます。
今ここで守られないといけません。
その守ってくれる人が誰であるかが問題です。
また、守って欲しい人に守られないと不信感が募り人を信用できない人になってしまいます。
幼児期に感情を存分に発揮し、関わっていくことが大切です。
3.夢中になるにはあそびが大切
これらの感情を存分に発揮するためには「あそび」がいいですね。
夢中になることが大切です。
夢中になるから喜びがあります。
夢中になって造った砂場の山を妹に壊されると真剣に怒りますね。
夢中になるからこそ悲しみも出てきます。
子どもに夢中になる時間を保証してあげましょう。
存分にあそばせてあげましょう。
あそぶことにより存分に感情を表現できます。
そして共感してあげましょう。
共感する感情の言葉を多く使いましょう。
また、前記に示した感情への関わりをすることにより、より共感を増し、信頼関係が構築できます。
そのことによりストレスを溜め込むのではなく、感情を上手にコントロールできる子どもになります。
将来ストレスやいじめにあっても、感情をしっかり発揮できるので「イヤ」と言えます。溜め込むことがなく発散できます。
それが幼児期の夢中になるあそびにあります。
多くの実体験が子どもの成長には欠かせません。
しかし、今は兄弟が少なく近所に友達もいません。
子どもがいてもあそび場がありません。
あそび場があっても公園デビューしないといけません。
さらに安全管理で交通事故や、不審者に気をつけないといけません。
子どもが夢中になれる環境が年々減少しています。
安心して子どもが存分にあそべる環境を保障しなくてはいけません。